志望校への合格、そして卒業後のキャリア

「MBA受験にあたっての最大の目標は何ですか?」と問われた際、受験生の誰もが「第一志望校へ合格すること!」と回答すると思います。いまさら、そんな分かり切ったことを?と首をかしげる方々もいる中で、入学審査官の視点について再考してみたいと思います。第一志望校へ合格し、卒業し、就職し、関わりたい仕事、リーダーシップ能力を発揮して生み出す成果、会社、業界、社会へのインパクトなどといった点は、考え始めていると思います。その作業自体に問題はありませんが、入学審査官はその先のこと、つまり長期的な成功の可能性も短期目標以上に注視します。短期的な視点でキャリア形成上MBAを取得する理由を強調しすぎると、「我々審査官が聞きたいと思うことだけに焦点を合わせた回答を述べているに過ぎない」とジャッジされてしまいます。こうした点を再認識し、出願先のスクールが掲げる教育方針との一致度合いを確認してはいかがでしょうか?

入学審査委員会は、ビジネスコミュニティに影響を与える将来のリーダーを求めています。アプリカントが設定する長期目標は、今後のキャリアを形成するための原動力として捉えることができます。まず、自分の専門分野でどのような影響を与えることを想定し、その影響がなぜ重要かを書き出してみてはどうでしょうか。長期的な目標についても、短期目標と同じく、できるだけ具体的に、肩書きを決め、働きたい会社/自ら起業する場合も想定した上で考えてみましょう。

短期・長期目標を書き出した上での次のステップとして、自分がすでに持っているスキルや知識、ビジネススクールを通して身につけるべきスキルや知識もリストアップしておきましょう。この作業は、アプリカントが目標を達成するために必要な教育リソースを提供する最適なMBAプログラムを選択する上で特に重要な点です。例えば、自らが卒業後に進みたい業界に関する経験がない場合、授業、実践的な学習機会(Practical Learning Experience)、同じ考えを持つ仲間とのネットワーク(例:クラブ活動機会)、就職サポート体制を提供するスクールは、アプリカントにとって最適な教育環境になると思います。

入学審査においては、GMATやGRE、英語力、学業成績、職業上の業績が重要な要素になりますが、ビジネススクールでの経験を通して、自分の専門分野であらたな変化を起こそうとする思慮深いリーダー像を伝えるためにも、時間をかけて自分の目標(この場合は人生目標といっても過言ではないかもしれません)を明確にすることは、MBA受験において必要なプロセスであると、私は思います。