米MBAに留学生離れ、トランプ氏が原因と教育団体 <日経新聞記事より>

以下、日本経済新聞へのの掲載記事(Financial Times記事日本語訳版)を紹介致します。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H1G_Z10C17A9000000/

米国で海外からの出願者数が減る経営大学院が増えているのは、ドナルド・トランプ氏が米大統領になったことが原因だと、経営大学院の入学適性試験「GMAT」を世界的に実施する米非営利団体、GMACのトップが語った。

GMACによると、米国では今年、海外からの出願者が増えた経営大学院は全体の32%にとどまった。昨年の49%から低下し、大半の経営大学院で減少となった。

国内外合計の出願者数が増加した経営大学院も全体の半数に満たなかった。だが、これは米景気の好転が原因で、就職を有利にするための資格にお金を使う動機づけが弱まったからだと、GMACは指摘する。

■欧州などでは出願増

対照的に欧州や東アジア、東南アジア、インドの大半の経営大学院では、全体の出願者数も国外からの出願者数も増えている。

GMACのサンギート・チョウフラ社長兼最高経営責任者(CEO)は、米国の「破壊的な」政治情勢が海外からの出願の減少傾向につながっていると指摘。米国での困難な状況は、経営学修士(MBA)プログラムが「活況を呈する」他の国々と全く対照的だとも述べた。

英国では約3分の2の経営大学院で海外からの出願が増えており、予定される欧州連合(EU)からの離脱がトランプ氏の米大統領選出と同様の悪影響をもたらしてはいないことがうかがえると、同氏は言う。

「大学院でのビジネス教育の需要は相変わらず強い。それが特に顕著なのは、ブランド力があって最上級の知名度を持つような大規模な経営大学院だ」

米国での需要低下は、MBAプログラムの56%を占めながら学生数では11%にすぎない小規模な経営大学院に集中している。

米国の大規模な経営大学院は出願者数が増勢を示す傾向にある。

離職して学ぶ学生は費用と時間を最小限に抑えるために短期間での修了を迫られるという事情も、ブランド力があるとともに期間の短いMBAプログラムに志望者を向かわせる結果になっている。

米国では大半のMBAプログラムが2年間なのに対し、1年間のプログラムが大半を占める欧州では昨年、67%の経営大学院で海外からの出願者数が増加した。

その一例が、海外からのMBA出願数が25%増加した英ノッティンガム・トレント大だ。

EU離脱が現実になれば、志願者数は減るかもしれない。だが、同大のフィル・コンシダイン主任講師は、英国の経営大学院の需要は英国のビジネス環境の国際的評価の恩恵を受け続けるはずだと語る。

「EU離脱は明らかに試練になる」と、コンシダイン氏は言う。「だが、そのプロセスが終われば、高く評価されているビジネス環境の公平性から、海外の学生がまたこの国に来て学びたがると私は本当に信じている」

By Jonathan Moules

(2017年9月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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