MBA留学:アジア、アメリカ、それともヨーロッパ?

春の気候を感じる冬から春への季節の切り替わり時期ですが、ことMBA出願準備におきましては、2016年秋入学の出願結果の大勢が判明すると同時に、2017年(秋)入学を目指す出願準備が本格的に始まる時期でもあります。

私のところにも、留学先(国や地域)に関する相談が届き始めています。そうした折、昨秋に読みましたウォールストリートジャーナルの記事を以下に紹介させていただきます。
http://jp.wsj.com/articles/SB12096842380967064583604581212003950034870

Why Americans are going abroad for an MBA
Shorter programs, lower tuitions in Europe lure U.S. students

米国ではドル高も手伝って、欧州で経営学修士号(MBA)を取得しようとする人が増加している。これら米国人は、フランスのINSEAD(インシアード)経営大学院や英オックスフォード大学サイード経営大学院などの一流校に応募している。

米国のMBA取得希望者が欧州に目を向けるようになったのは最近のこと。経営大学院への応募状況を調査している経営大学院入学協会(GMAC)のデータに よると、欧州でMBA取得を望む米国人は、2010年の2.1%から昨年には3.2%に上昇した。GMACによれば、欧州の大学院からの報告でも、昨年の 米国人の応募比率は5.1%で、12年の4.3%から上昇した。

米国の一部学生にとっては、英語で授業が行われることの多い欧州の経営 大学院は、米国より条件は良さそうだ。米国だとMBAの取得にはだいたいの場合2年かかるが、欧州なら1年前後で済む。つまり、その分欧州では授業料が安 くなる。また、仕事を辞めるか、休んでMBA取得を目指す場合も、1年分の収入を失うだけで済む。

さらに、最近ユーロに対してドル高となっていることも、米国人学生に有利に働いている。加えて、学生らによれば、企業側が国際志向の人物の採用を望むようになっており、欧州でのMBA取得の魅力が増しているようだという。

米ゼネラク・エレクトリック(GE)の中途採用担当責任者のデリア・ガースド氏は、「MBA取得や仕事を通して国際経験を培った人を求めているのは確か だ」とし、「成長している国でのビジネスのやり方や、文化の違うさまざまな人たちとの付き合い方を理解している人を採用することが、わが社のDNAの一部 になっている」と指摘する。

米国の一流経営大学院の授業料は20万ドル(約2400万円)を超えることもあるのに対し、欧州ではだいた いがその半額にとどまる。米デラウエア大学卒のパトリック・ローリーさん(26)は、授業料が約3万ドルと手頃なこともあり、フランクフルト金融経営大学 院の15カ月間のMBA取得課程で学ぶことを決断した。ローリーさんは、早めに入学手続きを取ったことから授業料の減額特典を受けたほか、米国の学資ロー ンも利用できた。「授業料は米国の有名経営大学院の半額以下になった」と喜んでいる。

一方、経営大学院入学コンサルタント会社のフォー チュナ・アドミッションズのマット・シモンズ取締役は、米国の経営大学院志望者にとって欧州の魅力は「授業料よりも課程修了までの期間の短さにある」と述 べる。同社の顧客は、MBA取得のために1年以上分の収入を放棄することをためらうようになっているという。また、期間の短さは、家庭とキャリアアップの 両立を目指す女性の関心も引きつけている。

サイード経営大学院では、2008〜09年度のMBA課程への米国人応募者は122人で、全 体の12.4%だった。今秋に始まる15〜16年度では、米国人の応募は189人で、比率は15.7%に上昇している。バルセロナにあるIESE経営大学 院でも、米国からの次年度の応募は16%で、12年度の13%を上回った。

欧州の経営大学院は米国以上に国際化が進んでいることも魅力だ。ハーバード大学経営大学院MBA課程の外国人の比率は34%、スタンフォードは44%なのに対し、IESEは80%、サイードは95%に達している。